グレーゾーンの子どものための学習支援教室 学びのいろは

通常のクラスでうまく適応できない発達障がい、軽度知的障がい、不登校の小中学生を対象とした学習塾 : 浜松

多様性を保障する高校入試制度とは

昨日、某新聞社から電話がありました。不登校などの子どもに
熱心に取り組まれ、また高校入試制度にも意見を持たれている
ということでお話伺いたいとの趣旨でした。新聞は貴重な情報
なのでいつも読んでいるものの、こちらが知りたい伝えたい
情報と新聞社が掲載したい情報とが必ずしも同じでないと常々感じています。
 結果として昨日の電話もそう感じました。
私の意見は個人の意見ですので、何かを代弁して語っている
わけではありません。ですので新聞という公共性を帯びた媒体では
ふさわしくないのかもしれません。そこを上手に折り合うように
話しできるのが大人としてのふるまいなのかもしれませんが、
あまりそういう器用さはないです。
でも尋ねられた内容は非常に重要な内容だと思うので共有させて
いただきます。
昨年度、県立高校の7割が定員割れしている状況になっています。
しかし、それでも入試制度は旧来型で、定員割れしている状況でも
不合格者を出している。これに対して県議会も問題視しており
制度改革について議論が始められようとしているということです。
他県では、不登校児に不利にならないように内申書の比重を低め
たり、自分の得意なことをアピールする形を導入したりするなど
多様な選抜が進められているが、現行の静岡県の県立高校の入試
制度について何か意見はあるか?
というものでした。
これに対して私の答えは「変更する必要はない」と伝えました。
記者含めて県議会が指している"高校"とは、県立の"全日制"の高校
を指しています。そのことを確認したうえで、すでに現行制度に
静岡県では県立の全日制のほかに6種類のタイプの高校があることを伝えました。入試制度改革に例として挙げられているような工夫がすでにこれらの高校では事実として機能しています。しかし、これらの6種類の高校の存在やその内容実態についてほとんど知られていません。私からすれば県立の全日制以外の学校のことについてもっと知ってもらいたいし、それらがもっと選ばれていくことのほうが社会全体から見て教育の多様性につながると思っています。
これまでは県立の全日制高校の比率が7割近くありましたが、
私立の全日制の割合が増えたり、定時制、単位制、通信制など
で学ぶ子供の割合が増えていくことで解消されていくと思います。
県立の全日制高校を他の学校と同じようにすれば、県立の全日制
を良いと思っている人たちにとっての選択肢が失われてしまい
選択肢が減ってしまうと思います。
教育制度というか多様性を社会でどう担保していくか?
ということの認識の違いだと思うのですが、制度を考える
事と併せて、多様性とは何か?多様性を担保する社会や教育
とはどうあるべきか?ということを考えて決めていくという
ことがものすごく重要だと思います。
よその県で何かしらうまく行ってそうな事例があるので
その部分だけ持ってきて当てはめる、という方法を繰り返すことのほうが多様性を奪い、方向性を失う原因になっていると思います。
県立高校は生徒から選ばれなくなりつつあります。それでだけではなく、教員からも選ばれなくなっています。どことは言いませんが、県立の全日制高校で教師が3人も不足している学校があると聞いています。
先生のなり手がいないのです。教育や学校がどこに向かって
いっているのか先生にすら分からない。ニュースをつくるため
なのか?議会から文句言われないために改革するのか?
そこで学ぶ子供、そこで教える教師、その子たちが育った後の
社会をイメージしたうえで慎重に設計する。それが高校入試
制度ではないかと思っています。
誰にでもフィットする高校は存在しないが、
その子にフィットする高校は存在しています。
最後に一つ付け加えておきます。
内申書の評価制度の不公平さ(校内、学校間)については
緊急に是正する必要があると感じています。