グレーゾーンの子どものための学習支援教室 学びのいろは

通常のクラスでうまく適応できない発達障がい、軽度知的障がい、不登校の小中学生を対象とした学習塾 : 浜松

生まれて初めてお給料をもらえた

「生まれて初めて給料もらいました。1万5000円!」
軽度知的障害で療育手帳を持ちながら、全日制高校に進学。
バイトして稼ぐ子どもの成長を喜ぶ母親からメールを
いただきました。教え子の成長に私もうれしかったのですが、
とあることを思い浮かべてしまいました。
 B型事業所の静岡県内の平均賃金は1万5529円。
高校生のアルバイトと変わらない金額だということです。
浜松市内のとある中学校の知的・情緒の発達クラスの
卒業生を対象に数年前、アンケートが行われたそうです。
中学卒業時に特別支援学校高等部に進学した人と
サポート校と呼ばれる通信制高校に進学した人の
2パターンがありましたが、
特別支援学校に進学した卒業生の6割が仕事に
就いているという状況だったそうです。
他方、サポート校に進学した卒業生の6割が
ニートだったとのことでした。
別の資料ですが、厚生労働省がまとめた全国の
データがあります。
そのデータを大まかにいうと、
2割の人が働いていて、8割の人が在宅です。
障害者手帳を持っている人のうち障害者年金を
受け取っている人が3割に満たない程度という
ことからすると在宅の方の割合がかなり多い
と思います。
働いている人のおおむね半分が障害者雇用
残りの半分が、A型ないしB型事業所です。
途中の計算を省いて大まかにいうと
働いている障害者全体の1/3はB型で
1万5000円ほどのお給料にとどまっている
ということになります。
もう20年前になります。私が夜間高校の
教師時代、4年生の担任でした。就職活動
の一環で何に向いているかという適性検査
ハローワークさんと協力して実施しました。
そうしたところ、ハローワークの方から
私が個別に呼び出され、「こんな低い数値は
見たことがありません」児童相談所
相談してください。と言われました。
その子は、4年生でしたが、5年目の高校
生活でした。1年次、欠席・遅刻はゼロで
真面目に学校に来ていたのですが、あまり
にも点数がとれなさ過ぎて、さすがにこれ
では単位は認められないということで留年
したことがありました。その後は低い
成績ながらも頑張って4年生になることが
できていました。
児童相談所の結果は、軽度知的障害で
療育手帳を取得することになったのです。
そこからハローワークの方から紹介されて
S社に障害者雇用されることになりました。
S社は特定子会社があり、障害者はそこで
働くケースが一般的なのですが、
コミュニケーションが図れるといった理由で、
工場に採用されました。
製品を作る仕事ではないのですが初任給が
手取りで10万円以上ありました。
仕事は大変だったと思いますが、その分の
見返りというか、自分を認めてもらえた証
のようなものがお給料だったのではないで
しょうか。その子は結局今も同じ職場で
働き続けています。
今、人を雇用する立場に私はいますので
能力に見合わない給料を支払うことには
賛同しているわけではありません。
そうではなく、きちんとした教育を受ける
ことで一定程度の能力を身に付けることは
できると思っています。
ところが教育を担うはずの学校の先生は
「その子にあったペースで」といって
学ぶべき時期に学ばせないということが
今の主流です。
ペースはもちろんその子のペースですが
背を伸ばしたいと思って、大人になって
から一生懸命牛乳を飲んでも遅いです。
全員が教育によって能力を
身に付けられるわけではありません。
でも、知能や技能も伸びる時期、
あるいはその基礎を形成する時期に
取り組ませておかなければ、可能性は
開花することはないと私は思います。